■ REITの問題点
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REITの問題点

 本家である米国REITと比較した場合の、J-REIT(Japan Real Estate Investment Trust)の問題点については以下の点が挙げられます。

(1)セルフ・マネジメント(REITの自家運営)が認められていない。

 J-REITが義務づけられている外部運営は、米国REITの60年代のスタイルであり、今では多くのREIT専門家がこの当時を振り返って、なぜもっと早く自家運営を導入しなかったのかと反省しているほどです。外部運営の場合、資産運用会社を外部委託すると「2つ以上の立場」のプレーヤーが増えることになり、利益相反につながりかねないという欠点があります。

(2)現物出資によるREITの組成と課税の繰り延べが認められていない。

 いわゆるUPREIT(アップリート)のスキームが認められないと、優良な物件がJ-REITの対象物件として出てきにくいという欠点があります。J-REITの銘柄を増やすためには、物件不足を解消しJ-REITの組成をしやすくする必要があります。

(3)日本には、REIT専門に集中できるような優れた運用者がいない。

(4)日本には、そもそも優良で質の高い不動産が少なく、市場の透明性もあまり確保されていない。

(5)J-REITが証券市場に上場したとしても、高い流動性を確保できるとは思えない。

 そもそも日本では、流動性を高めることによる投資価値の増大を積極的に評価しようという土壌がない。


REITの利益相反

 米国での利益相反の前提は、不動産の売手と買手、不動産所有者とテナント、発行体と投資家などは常に利害が対立しているという認識です。米国の場合、機関投資家やテナントなどの当事者により、この点が特に強調されています。米国の不動産投信の実状は未上場不動産会社の上場であり、当該不動産会社自体の運営、管理が多いのです。反面、日本の不動産投信は大手不動産会社による外部運営が想定されるので利益相反が生じやすくなっていなす。つまり日本では不動産投信の多くは、既存の不動産会社が投資顧問を設立して、親会社である不動産会社から不動産を購入して運用することを前提としているのです。そしてその不動産の管理・運営は親会社か、その関連会社に委託することを前提にしています。現在、日本の不動産投信で懸念される利益相反は、不動産投信の運用を行う不動産投資顧問会社のレベルで親会社の介入が起きないか、そして対象資産の管理・運営を受託する業者のレベルで不動産投信よりも自らの親会社など優先するのではないかなどの懸念です。つまり投資家は、投資顧問が親会社から購入した価額は適正か、親会社などに業者としての能力がないとき排除できるか、優良テナントに対し業者は親会社と不動産投信のどちらを優先するのかなどの疑念を持つことになります。

 これらのケースでは、次のような利益相反が考えられます。


【利益相反のケース】

(1)物件の取得価格に関する利益相反

 物件の取得にあたって、売主が資産運用会社の株主などの関係者である場合に、資産運用会社が投資法人の投資家よりもみずからの関係者の利益を優先して、投資法人に割高な価格で物件を買わせる。

(2)取得物件の選別に関する利益相反

 物件取得にあたって、売主が資産運用会社の株主等の関係者である場合に、不良物件ばかりを投資法人に購入させて、優良物件は売却しない。

(3)プロパティマネジメントの利益相反

 資産運用会社の株主等の関係者が、投資法人が保有する物件のプロパティマネジャーを務める場合に、プロパティマネジャー選定に際してその関係者を優先したり、不当に高い報酬を支払う。

(4)テナント仲介業者の利益相反

 資産運用会社の株主などの関係者が、投資法人が保有する物件のテナント仲介業を行う場合に、テナント仲介業者選定に際してその関係者を優先したり、不当に高い報酬を支払う。

(5)引き受け証券会社の利益相反

 資産運用会社の株主等の関係者が、投資法人が発行する投資証券の引き受けを行う場合に、みずからの引き受け手数料を高く設定する。

(6)銀行等金融機関の利益相反

 資産運用会社の株主等の関係人が、投資法人に融資を行う銀行やその他の金融機関の場合に、金利や融資手数料などを高く設定する。

(7)ファンド間の利益相反

 資産運用会社が複数の投資法人から運用の委託を受けるケースでは、ファンド間の利益相反の可能性もある。こうした利益相反を防ぐために、投信法は資産運用会社に受託者責任と善管注意義務を課しています。

 利益相反は、不動産投信市場拡大のネックとなるためこの問題を回避する下記のような手法が必要と考えられます。

【利益相反を回避する手法】

(1)ノーリターン制度

 投資顧問の担当者がいずれ親会社に戻るローテーション人事では親会社の意向を排除することは難しいため、これを禁止するノーリターン制度を検討する。

(2)ストックオプション等のインセンテイブの付与

(3)不動産会社本体の事業を開発事業、マンション分譲事業など不動産投信が対象としない事業に特定し、これを明示する。

(4)徹底した情報開示。

 利益相反のリスクが投資家に事前に開示されていることは当然必要。設定後の情報開示を適切に行うと運用実績が開示されるため運用能力のない投資顧問は淘汰されます。管理運営業者契約条件などを開示すれば他の業者とのコスト・パフォーマンスの比較が可能となり投資顧問は、対応せざるを得なくなるのです。

(5)不動産会社に不動産投信への出資比率を高め投資家と同じリスクを取らせる。


利害関係人の範囲(1)

 投信法では、投資法人に関連する当事者が、投資法人を利用して自己または自己の利害関係人の利益を図る取引を禁止しています。利益相反によって投資法人の利益が損なわれれば、結局は投資法人の投資主が損害を被ることになるからです。投信法が規定する利害関係人等とは次のようなものをいいます。

(1)投信委託業者の経営を支配している者

 投信委託業者の株式の過半数を所有しているか、取締役または代表取締役の過半数に影響力を有することを通じて、投信委託業者の経営を支配している人的関係または資本関係により、相互に密接に結びついている者。

(2)投信委託業者によってその経営が支配されている者

 投信委託業者およびそれと人的関係または資本関係によって相互に密接に結びついたグループの一団によって株式の過半数を所有されているか、取締役または代表取締役の過半数に影響力を持たれることを通じて、経営を支配されている者。

(3)投信委託業者が資産の運用を行う投資法人の投資証券、投資法人債券の過半数の募集の取り扱い等を行う証券会社等。


利害関係人の範囲(2)

 投信法の規定はすべて出資基準と取締役基準によって構成されています。 出資基準については、出資関係の有無によって、また取締役基準についてはその法人の代表権の過半数を、出資基準に該当する者の役員ないしは使用人、あるいはそれらの経験者が占めるかどうかによって判断することになります。 こうした利害関係人との取引については、当該利害関係人等や利害関係人等の顧客の利便性を図るために、投資法人の利益を害する取引を行うことは禁止されています。

 また、利害関係人等と特定資産に関わる売買等が行われた場合は、当該取引に関わる事項を記載した書面を、当該投資法人等に交付する必要があります。

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